コーヒーの味ってどこで決まると思いますか?

生産地?焙煎する時?それとも、コーヒーを淹れるとき?

実は私たちが飲んでいるスペシャルティコーヒーは生産地で色んな工程をクリアし、最後まで残った選ばれしものなんです。

焙煎や抽出は、コーヒーの持つ味わいを最大限に引き出すための工程であり、原料である生豆の品質が良くなければ、どんなに焙煎工程を工夫しようと抽出過程を工夫しようと、原料の持つポテンシャル以上の味を引き出すことは至難の技です。

私たちが普段飲んでいるスペシャルティコーヒーは、生産地で丁寧に作られ、様々な過程をクリアした選ばれたコーヒー。

生産過程でどのように味わいが変わるのかを学ぶため、SCAJ主催の「実践カッピングセミナー」に参加してきました。

通常のカッピングと異なり、生産処理の工程ではじかれたコーヒーを実際にカッピングすることが出来ます。

今回のセミナーのために、ニカラグアの生産者の方にご協力していただき、通常は日本に流通することのないコーヒーをサンプルで日本に送ってもらったとのこと。生産地に足を運ばない限り、なかなか出来ないカッピング体験です。

収穫から生豆ができる過程

コーヒー屋さんで目にする茶色いコーヒーは実はコーヒーの実の種の部分。

通常、生産地で赤く実ったコーヒーチェリーは収穫された後に、周りの実の部分が取り除かれ、種が取り出されます。

取り出された種は乾燥工程を経て袋詰めされ、消費国へと送られます。その後、運ばれた生豆は焙煎所で焙煎されてよく目にする茶色いコーヒー豆になるのです。

赤い実だけを収穫

コーヒーのチェリーは緑色からどんどん赤く色づいていきます。中にはオレンジ色や黄色になる品種もあります。

赤色が濃くなった完全完熟のチェリーを収穫するよう、収穫時に農園ではピッカーさん(コーヒーの実を摘む人)を指導します。

完全に完熟した実だけを収穫することは、美味しいコーヒーを作るために欠かせないとても大事な工程です。

完全に完熟したコーヒーチェリーだけを収穫することの重要性はこの後のカッピングで納得できます。

何度もチェックされる生産処理

生産処理の工程では、収穫したコーヒーチェリーから種を取り出します。上の写真はチェリーから取り除かれた種子です。

写真右側はグリーンビーンズ(生豆)です。左側はパーチメントと呼ばれるコーヒーの種子の外側の保護層です。

生産処理でパーチメントの状態にしたのち乾燥させて脱穀し、右側のグリーンビーンズになります。

生産処理の大まかな流れ

1. まず、水をはったプールで比重選別が行われます。

ここで、浮いた比重の軽いチェリーは取り除かれ、重いチェリーが次の工程に進みます。比重の軽いものの多くは、熟して乾燥が進んだ過熟のチェリーです。

2. 比重の重い水に沈んだチェリーは次に、パルパー(コーヒーの果皮をむく機械 )にかけられます。

ここで、果皮をむくことが出来ない硬いチェリーが取り除かれます。硬いチェリーは未完熟のチェリーです。

3. 次の工程では果皮がむかれたパーチメントをさらに比重選別にかけます。

ここで、比重の軽いパーチメントは取り除かれます。

4. その後、比重の重いパーチメントをアフリカンベッドで乾燥します。

ここで、人の手によって外果皮が付着したものや割れたパーチメントが取り除かれます。

5. 最終の乾燥工程を無事に経て、スペシャルティコーヒーが出来上がります。

実際にカッピングした5つのコーヒー

実際に精製処理の工程ではじかれたコーヒーを4つと最後まで残ったコーヒー、全部で5つのサンプルをカッピングしました。

  • サンプル1→最初の比重選別で浮いた過熟のチェリー
  • サンプル2→パルピングされなかった未完熟の硬いチェリー
  • サンプル3→比重選別で浮いたパーチメント
  • サンプル4→アフリカンベッドでの乾燥時に取り除かれた外果皮が付着したものや割れたパーチメント
  • サンプル5→最終工程まで残ったコーヒー

講師による解説も入れながら、それぞれの工程ではじかれたチェリーがどういう味だったのかご紹介します。

1. 最初に浮いた過熟のチェリー

アプリコットのようなまーるい酸味。熟して乾燥が進み(ナチュラルの状態)、軽くなったものなので品質は悪くない。コマーシャルコーヒーや国内消費向けのコーヒー。

2. パルピングされなかった未完熟の硬いチェリー

未完熟のためか渋みがある。ザラザラした苦味を感じる。コマーシャルコーヒー。

3. 比重選別で浮いたパーチメント

プロファイルがとれるクオリティ。甘さを感じ、クリーンな印象。ハイコマーシャルコーヒー。

4. ハンドピックで取り除かれた外果皮の付いたものや割れたパーチメント

渋みがあり未完熟の香り。国内消費向けのコーヒー。

5. 最後まで残った比重の重いパーチメント

全ての過程を通過して残った最終のコーヒー。プロファイルが取れる。他のサンプルよりも明るい酸味を感じる。スペシャルティコーヒー。

カッピングして思ったこと

特に未熟のチェリーは渋みを感じ、美味しいとは言えないものでした。「完熟したコーヒーを収穫する」工程って本当に大事だなと納得できます。

また、最終の乾燥工程ではじかれたコーヒーもあまり美味しいとは言えない味わいでした。この工程では目視で人の手によって、割れたパーチメントなどや果皮が付着したものなど、状態が悪いものを取り除いています。

美味しいコーヒーを作るために「選別」「生産処理」って本当に大事な工程です。

焙煎の前や焙煎後にもハンドピックで豆を選別しますが、それ以上に生産の現場ではコーヒーを選別しより美味しいコーヒーを作るために努力しています。

美味しいコーヒーを届けるために

普段、何気なく飲んでいるコーヒーは様々な過程を経て私たちのもとに届きます。生産地が遠くまだまだ情報も少ないので、あんまりピンとこないことも多いかもしれません。

品質の良いものを作るために努力している生産地のことや、美味しいコーヒーが作られる過程をもっともっと伝えていきたいなと思います。